化合物ライブラリーから目的のタンパク質に結合する小分子リガンドを物理的相互作用を指標にスクリーニングするツールとして「化合物アレイ」があります。我々が開発した化合物アレイの作製法は、小分子化合物を官能基非依存的にスライドガラスに固定化する方法であり、天然化合物や合成化合物等の様々な化合物を1枚のスライドガラス上に固定化することが可能です。1枚のスライドガラスには、3456種類の化合物を各2点ずつスポットしてあります。NPDepo化合物ライブラリーのアレイ化を進めており、現在までに約3万の小分子化合物が固定化された「NPDepoArray」シリーズ(12枚組)が完成しています。(2022.03.24現在) 化合物アレイによるリガンドスクリーニングでは、HisやGSTタグを融合させた精製タンパク質を用いることができます。精製タンパク質を化合物アレイにアプライし、その後、抗タグ抗体、Cy5標識2次抗体を用いることにより、目的タンパク質が結合した化合物スポットを蛍光スキャナーにて同定することができます。
生物活性を有する小分子化合物の標的分子を同定する方法として化合物ビーズによるプルダウンアッセイ法があります。ビーズに小分子化合物を固定化する際に生物活性に影響のない官能基を利用して結合する必要がありますが、利用できる官能基が同定できていない場合や天然化合物の場合など固定化に利用できる官能基がなくこの方法が適用できないことがあります。 我々は、官能基に依存せず、様々な部位で化合物が固定化された化合物ビーズ作製方法を開発しました。具体的には、NHS活性基付きの市販のセファロースビーズに、光親和型リンカーを導入し光親和型ビーズを作製、それに化合物を“官能基非依存的”に固定化し化合物ビーズを作製します。従来の“官能基依存的”な固定化法で作製したビーズとは異なり、化合物の様々な官能基を露呈した形で化合物が固定化されます。この化合物ビーズを使用することで、化合物が結合する標的タンパク質を細胞抽出液などから拾い出し、その同定を行うことができます。