iHOPEスクリーニング
担当: 青野 晴美、二村 友史 連絡先: tech_CRAST
標準評価システムiHOPEは、動物細胞や菌類、原虫などに対して、試験サンプルが誘導する表現型を横並びにプロファイリングし、興味深い生物活性を有する小分子化合物(バイオプローブ)の発見を目指します。
1. 概要
- 年に2回(12、6月)サンプルを受け付け、活性評価を実施
- 結果返却までの期間はおおよそ3ヶ月を予定(3、9月頃)
- サンプルは化合物以外に微生物や植物のエキスなども受け付け可能
- 抗がん活性、抗菌活性、抗真菌活性、抗原虫活性を評価
- 1次評価は384プレートを用いて実施
- 処理濃度やn数はサンプルの種類に応じて下表のように設定しています。別の方法での評価を希望する際は相談にのります。(より高濃度での評価を希望する場合は必要量が増えます)
Table 1. 各サンプルの評価方法について
種類 |
評価方法 |
必要量 |
化合物 |
濃度8点、n=3 最高濃度は30 μg/mL(あるいはμM) |
20 mg/mL, 25 μL (粉体0.5 mg程度) |
ライブラリー |
1 μM、n=1 |
10 mM, 5 μL |
ブロス |
ブロス等量と10倍希釈液, n=1 |
10 μL |
フラクション |
0.1, 1, 10 μg/mL, n=1 |
10 mg/mL, 20 μL |
- 増殖阻害率に応じて3段階(+3:80%以上、+2:50-80%、+1:20-50%)で評価
- 強い活性を示したものは、2次評価(再現性、細胞形態変化観察など)を実施
- ライブラリー化合物は+3を示したもの(抗菌・抗原虫は+3かつ細胞毒性のないもの)について、2次評価を実施
- ブロスは細胞形態変化を指標とした2次評価を実施して、候補株を選定
2. 各評価系の説明
(1) 抗がん活性:抗がん剤
- 一次評価 ヒト子宮頸がん由来細胞HeLaやヒト骨髄性白血病細胞HL-60細胞に対する薬剤添加48時間後の増殖阻害活性をWST-8アッセイで評価します。
- 二次評価 再現性を確認します。またHeLaやラット腎細胞由来正常繊維芽細胞NRKのv-Src温度感受性株tsNRK細胞を用いた形態変化誘導活性を評価します。
- ⇒ 高活性(IC50 < 0.5 μM)、ユニークな細胞形態変化を示す化合物は高次評価へ
(2) 抗細菌活性:抗菌剤
- 一次評価 黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus、大腸菌Escherichia coliに対する増殖阻害活性をミクロ液体希釈法で評価します。
- 二次評価 再現性を確認します。
- ⇒ 高活性(IC50 < 0.1 μM)、高選択性(30倍以上)を示す化合物を高次評価へ
(3) 抗真菌活性:抗カビ剤
- 一次評価 ヒト病原性真菌2種(Aspergillus fumigatus、Candida albicans)およびイネいもち病菌(Prycularia oryzae)に対する増殖阻害活性をミクロ液体希釈法で評価します。
- 二次評価 再現性を確認します。また各種真菌に対する形態変化誘導活性を評価します。
- ⇒ 高活性(IC50 < 0.1 μM)、高選択性(30倍以上)を示す化合物を高次評価へ
(4) 抗原虫活性:マラリア治療薬
- 一次評価 熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)3D7株に対する増殖阻害活性をLDHアッセイで評価します。
- 二次評価 一次評価の再現性を確認します。
- ⇒ 高活性(IC50 < 0.1 μM)、高選択性(30倍以上)を示す化合物を高次評価へ
3. サンプル寄託に際して
化合物は理研天然化合物バンク NPDepo にご寄託ください。NPDepoではご寄託いただいた化合物の精密秤量とサンプル溶液の調製を行い、iHOPEへの化合物提供を実施致します。
- 化合物の提供方法は化合物バンク npdepo にお問い合わせください。
- 化合物の安定性や保存方法等について特記すべきことがあればお知らせください。可能な限り対応します。