蛋白質間相互作用を阻害する薬剤のスクリーニング


(図1)蛍光標識PBDタンパク質を用いた
PBD依存結合阻害剤探索系

小分子の生理活性をスクリーニングするためには簡便なバイオアッセイ系の確立が必要である。スクリーニング系は、酵素レベル、細胞レベル、そして個体レベルでのアッセイ系に大別されるが、それぞれのアッセイ系で一長一短がある。我々は、スクリーニング系を構築する際に、検定手順が簡単(Simple)、検定結果が早く分かる(Speedy)、検出感度が高い(Sensitive)、特異性が高い(Specific)、そして検定結果の判定が容易(Distinctive)であること、すなわち4S & Dを基準としてきた。細胞レベルのアッセイ系で4S & Dの基準をクリアーすることは難しいが、最近、自動化された顕微鏡を用いた細胞の定性化・定量化が可能になってきた。

つまり、表現型のハイスループット検出にイメージング分析のアルゴリズムを用いると、画像の自動処理が可能であり、表現型に対する化合物の効果をまとめて選び出すことができる。このように様々な細胞の表現型を同時観察する系をハイコンテンツスクリーニングと呼ぶが、このための専用機器も市販されており、新しいスクリーニング技術として注目されている 。

しかし、膨大な数の化合物ライブラリーに対して4S & Dを満足するスクリーニング系となると、やはり酵素レベルの系に軍配が上がる。我々は、蛋白質間相互作用を阻害する薬剤を探索するための、ハイスループットスクリーニング系を構築した。96穴マルチウェルプレートに基質ペプチドを共有結合し、それを認識する蛋白質を蛍光蛋白質と融合して大腸菌で発現させた。基質に結合した融合蛍光蛋白質の量を蛍光プレートリーダーで測定することができる。


(図2)パープロガリンの構造式と、
パープロガリンの細胞に対する作用
(緑は紡錘糸、赤は動原体)。
P薬剤処理により、紡錘体形成が異常になった。

具体的な例として、がん細胞で発現亢進していることが知られているリン酸化酵素Plk1(Polo like kinase 1)の阻害剤探索について紹介する(図1)。Plk1は、細胞周期に関わる様々な蛋白質とPolo Box Domain (PBD)を介して結合することが知られている。細胞周期調節キナーゼであるWee1もその一つである。Wee1のPBD認識配列を共有結合したプレートに蛍光蛋白質融合PBDを入れると、洗浄後にPBD依存性結合を蛍光プレートリーダーで定量することができる。結合が阻害ざれると、蛍光量が減少するので、阻害剤の有無を高感度で簡便に検出することができる。このような系を用いることにより、purpurogallin(図2)がPBD依存性結合を阻害することを見出し、PBD依存性結合が分裂期の染色体整列に重要であることを見出した。

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